疲れにくい自転車を選ぶ

 疲れにくい自転車といえば電動アシストママチャリ最強! ママチャリ仕込みの乗り心地と電動アシストのパワーで疲れ知らず! が、そんなことは言わずもがななので、ここではアシスト無しの自転車を対象にしたいと思います。

« 自分の考える最も疲れにくい自転車 »

 時速 25km/h 以内のスピードを想定した場合においては、以下のイラストの様な自転車が総合的に最も疲れにくいと自分は考えます。 ただし時速 25km/h を超えるスピードを出すには空気抵抗の大きい乗車姿勢なので、速く走りたい人はコレは諦めてロードバイクに乗りましょう。

以下は解説になります。

アップハンドルで上半身はリラックス
 ママチャリのような手前に曲がったアップハンドルやプロムナードハンドルなどで 直立姿勢 (アップライトポジション)を取って上半身をリラックスさせましょう。 ただしあまり直立すぎるとハンドルにかかる荷重がサドルに集中してお尻が痛くなるので注意。
柔らかフカフカシートで尻痛(しりいた)を防ぐ
 柔らかめのサドルにクッション付きのサドルカバーを被せてお尻の痛みを防ぎましょう。 可能であればレーサーパンツと呼ばれる尻パッド付きパンツを履いてよりフカフカに。
ギアは段数少なすぎず重すぎず
 様々な速度域に対応できるようギア段数は 7 段以上かつ坂登りを楽にする軽いギアがあるものを選びましょう。
タイヤは細すぎず太すぎず
 走りを重くしないために太すぎないタイヤを、路面からの振動を増やさないために細すぎないタイヤを、つまり中くらいの太さのタイヤを選びましょう。 具体的には幅 28mm(1.15インチ)〜32mm(1.25インチ) 前後でしょうか。
ホイールの直径は大きめに
 ホイールは 26 インチ以上の大きめを選んで路面からの衝撃を和らげつつハンドル操作の安定感も手に入れましょう。 ただし小柄な人が 29 インチのような大径車に乗るのは無理があるので計画的に。 女性は 26 インチ、男性は 700c というのが定番。
軽量な車体で軽く走る
 車体重量の軽い自転車は軽い力でペダルを回せるので足への負担が減ります。 車体重量は 12kg 以下を目安にし、10kg 以下なら文句なし。


 以上が自分の考える疲れにくい自転車です。 試しにこれらの条件を満たす自転車を探してみたところ、ザッと見た限りでは [TOKYOBIKE BISOU 26] しか見つかりませんでした(2016/10調査)。 重量が 12kg と上限いっぱいで、タイヤの太さも 1.15インチとやや細めで、ギア比 1.235 とそこまで軽くないので、条件的にはちょっとアウトですが…。 サドルの柔らかさはスペックでは分からないので考慮していません。

 それ以外で考えると、軽いクロスバイクを買ってお店でハンドルをアップハンドルに交換してもらうのが現実的っぽいです。 料金は 1 万円はかからないと思います。 サドルの交換は必ず現物を触って柔らかさを確認しましょう。 カタログに「柔らかい」と書いてあってもアテにならないことが多かったので…。

 以上で終了! と言いたいところですが、以下に細かい要素も書いておきます。 文字ばかりで分かりにくいので読まなくても良いと思いますが、知っておくとより深く自転車を理解できると思います。


« 軽いギアとは »
ホイールサイズによって変わるので大径ホイールに絞った大まかな指標を以下に記す。
あくまで大まかであって個人の脚力やタイヤの太さは考慮しておらず。
細かい説明はせぬゆえコレを見て分からなければ諦めるか他所を調べられたし。

ホイールサイズフロント最小ギア ÷ リア最大ギア
MTB29インチ1.1以下 (例えば前 34t の後 32t が 1.06)
ロードバイク700c, MTB27.5インチ1.15以下 (例えば前 34t の後 30t が 1.13)
ロードバイク650c, MTB26インチ1.2以下 (例えば前 34t の後 28t が 1.21)

≪ 基本的なこと ≫

自転車による疲れは以下の3箇所に蓄積されます。
 ・ペダルを踏む「足」
 ・ハンドルを握る手・肩・首の「腕周り」
 ・サドルに座る「お尻」
これらはお互いに影響し合う要素で、全ての疲労を軽減させることは難しく、どこにどれだけのダメージを割り振るかを考えていくことになります。 「足」は乗り始めから疲労を感じやすく、「腕周り」「お尻」はある程度の距離を走らないと疲労を感じにくいので、長距離を走らないなら「腕周り」「お尻」より「足」を重視した方が良いかもしれません!

 イラストは 「青:足 / 赤:腕周り / 緑:お尻」 のダメージの受け方の補足です。

≪ 足の疲労を抑えるには ≫

車体重量の軽い自転車を選ぶ
 これは理論的には「腕周り」「お尻」にダメージを振り分けること無く漕ぎを軽くして「足」へのダメージを減らす非常に有効な方法です! が、軽い自転車は高価だったり、前傾姿勢を強制されて「腕周り」へのダメージを増やす傾向があるので注意が必要です。 ともあれ、似たようなスペックや価格の自転車であれば車体重量の軽い方を選ぶと良いでしょう! 短距離しか走らないなら 1~2kg 程度の重量差は殆ど影響はありませんが、20km、30km と走り続けると徐々に疲労が蓄積されるので、長距離ライダーは 1~2kg 程度の重量差も気にした方が良いかもしれません。
小さいホイール(小径)の自転車を選ぶ
 あくまで同じ価格帯で、での話ですが、ホイールの大きい自転車よりホイールの小さい自転車の方が軽く加速できる傾向があります。 理由は、自転車の加速力はホイールのような回転部分の軽さが大きく影響するので、小さく軽量なホイールの方が有利だから、です。 ただし、小さいホイールは路面からの衝撃が強くなるので「腕周り」「お尻」へのダメージが増えます。 ハンドルのフラつきも強くなるので、あまり小さすぎるホイールは精神的に疲れるでしょう。
タイヤをツルツルしたものに換える
 マウンテンバイクに付いているようなゴツゴツしたタイヤはスピードが落ちやすので、表面がツルツルのタイヤに交換すると漕ぐ回数を減らせるでしょう。 悪路ではスリップしやすくなります。 「腕周り」「お尻」へのダメージは増えません!
細いタイヤで空気をパンパンにする
 足の疲労低減にはかなり効果がありますが、路面からの衝撃がキツくなるので「腕周り」「お尻」へのダメージが増えます。
サドルの高さを調節する
 ペダルに乗せた足が一番伸びた状態で少しだけヒザが曲がるくらいが調度良いそうです。 足が地面に付きにくくなるのでご注意を! ハンドルが少し遠くなるので「腕周り」へのダメージが上げ量に応じて少々増えます。
軽めのギアでシャカシャカ漕ぐ
 漕ぎ始めや上り坂では難しいですが、スピードが乗ってきたらあまり足に力を込めずに 1 秒間にペダルを 1.5 回転するくらいでシャカシャカ漕ぐと疲れにくいです。 ペダルを強く踏まないため体重がハンドルやサドルにかかる分「腕周り」「お尻」へのダメージが増えます。

≪ 腕周りの疲労を抑える ≫

背筋が伸びる自転車を選ぶ(前傾姿勢の反対)
 ママチャリのようにハンドルを握る位置が高くて体に近い自転車は「腕周り」へのダメージを大きく減らします。 腕にかからなくなった体重はサドルにかかるので「お尻」へのダメージが増えます。 上体が起きて空気抵抗が増えるため「足」へのダメージも少しだけ増えます。
前輪が大きいホイール(大径)の自転車を選ぶ
 直径の大きなホイールは路面からの衝撃を弱めてくれるので、「腕周り」への振動を減らせます。 でも大きいと重いので「足」へのダメージが増えます。
フロントサスペンションの自転車を選ぶ
 サスペンション無しに比べて重量が重くなり、路面からの衝撃を吸収するようにペダルを漕ぐ力も吸収されてしまうので、「足」へのダメージが多少増えます。
太いタイヤで空気を少なめにする(前輪)
 路面のオウトツに応じてタイヤがヘコむことで振動を吸収しますが、フロントサスペンション同様に漕ぐ力も吸収されて「足」へのダメージを増やします。
ハンドルグリップ・バーテープ・グローブをフカフカにする
 握りを柔らかくすることで腕への衝撃を和らげます。 他へのダメージ分散も無いノーリスクな手段ですが、上記 2 つに較べて衝撃吸収効果は低いです。
握りポジションの多いハンドルを選ぶ
 フラットハンドルのように握りポジションが1箇所のハンドルよりも、ドロップハンドルやブルホーンハンドルのように握りポジションが複数あるハンドルの方が、握り箇所をちょくちょく変えることで手の疲労を分散させやすいです。 フラットハンドルでもバーエンドバーを使うことで握りポジションを増やすことができます。

≪ お尻への疲労を抑える ≫

ふかふかサドル
 スプリング・エラストマー・ジェル入りなどのサドルで「お尻」へのダメージを大きく減らせます。 この手のサドルは重量が重いので「足」へのダメージを増やしますが、数百グラム程度なのでそのダメージには気付かないでしょう。
サスペンションシートポスト
 大抵のサスペンションシートポストは殆ど効果が無いので、無いよりはマシ、といった感じです。 モノによっては大きな効果を生むようです。 これも数百グラム程度の極わずかな「足」へのダメージがあります。
後輪が大きいホイール(大径)の自転車を選ぶ
 直径の大きなホイールは路面からの衝撃を弱めてくれるので、「お尻」への振動を減らせます。 でも大きいと重いので「足」へのダメージが増えます。
リアサスペンション付きの自転車を選ぶ
 重量増とペダルを漕ぐ力をそれなりに吸収してしまうため「足」へのダメージがソコソコ増えます。
太いタイヤで空気を少なめにする(後輪)
 前輪同様手軽に衝撃を吸収できますが、やはり漕ぐ力が吸収されて「足」へのダメージを増やします。
溝空きサドル
 女性はどうか分かりませんが、男性の場合は前傾姿勢で長距離を走ると局部を圧迫し続けて大変なことになってしまうので、中央に穴の開いたサドルが非常に効果的です。 「足」「腕周り」へのダメージはゼロです。

≪ ものすごく感覚的に数値化すると ≫

 プラスは負担が減り、マイナスは負担が増えます。

 足  腕周り  お尻  備考
軽い自転車に乗り換える
(20kgママチャリ→10kgロードバイク)
+4-3-2 前傾姿勢がかなりキツくなるので腕周りマイナス
サドルがかなり細く堅いのでお尻マイナス
軽い自転車に乗り換える
(20kgママチャリ→12kgクロスバイク)
+3-2-1 前傾姿勢がややキツくなるので腕周りマイナス
サドルがやや細く堅いのでお尻マイナス
軽い自転車に乗り換える
(20kgママチャリ→17kgママチャリ)
+100 1kg 程度だと殆ど分からないけど、3kg 軽ければ漕ぎの軽さを体感できるはず!
小径車に乗り換える
(27インチ→20インチ)
+4-2-2 ホイール・タイヤが軽くなるので足の負担が減る
路面からの衝撃が強くなるので腕周り・お尻にマイナス
ごつごつタイヤ→つるつるタイヤ +200 つるつるだと悪路ではスリップしやすくなる
細タイヤの空気パンパン(両輪) +4-2-2 細タイヤの空気ユルユルはパンクしやすくなるので危険
太タイヤの空気少なめ(両輪) -4+2+2 あまり空気を少なくし過ぎるとパンクしやすくなるので程々に
サドルの高さを適切に
(地面に足べったり→つま先ギリギリ)
+4-1 0 高めに設定した場合
軽めのギアでシャカシャカ漕ぐ +4-2-2足に体重がかからないので他の箇所にダメージ
背筋の伸びるハンドルに交換
(ドロップハンドル→アップハンドル)
-1+4-3 交換には知識orお金が必要
フロントサスペンション(安物) -2+30
フロントサスペンション(高額) -1+20
ふかふかグリップ・バーテープ・グローブ 0+20
複数ポジションハンドル
(フラット→フラット+バーエンドバー)
0+10
ふかふかサドル 00+4
サスペンションシートポスト(安物) 00+1効果は体感できず
サスペンションシートポスト(高額) 00+3
リアサスペンション(安物) -30+3
リアサスペンション(高額) -20+2
溝空きサドル 00+2男だけ?
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