キャリパー本体に V ブレーキレバー2015-08
キャリパーブレーキ本体の強化とブレーキのよく効くリムとの組み合わせでブレーキが効き過ぎるようになったので、シューを弱体化させることでバランスを取っておったのですよ。 でももう少し弱くても良いんじゃないかと思って手を打ってみた!
※ここで言うキャリパーブレーキは、特に説明がない場合は旧比率のただのスーパー SLR のことで、新比率の新スーパー SLR ではないですよー。
キャリパー本体に V レバーを合わせる
理論的には効きが弱くなるらしいのでね。 レバーの個体性能差を除外するために 1 つのレバーでキャリパー・V のモードを変えられるブレーキレバー↓で試してみる。
↓これがモード切り替え箇所。
TEKTRO のロゴに 350 と TK って書かれてるけど、ネットで検索しても情報は出てこなかった。 350 の横に何かあるんだけど読めない。 どこで手に入れたのか忘れちゃったんだよね…。
走ってみたら
本体 | レバー | 軽く握る | 普通に握る | 強く握る |
---|---|---|---|---|
キャリパー | キャリパー | 減速 | 停止 | 急停止! |
キャリパー | V | 減速 | 停止 |
↑こんな感じになったぜ期待通り! キャリパー本体の効きが強すぎる場合にレバーを V にするのは人並み程度の握力があればアリだね! といってもすぐにその差に気付けたワケじゃなくて、3~4 回くらいワイヤーを C←→V に張り替えて比べてたらようやく必要な握力が違う事に気付けた、ってくらいの小さめの差(気付けなかった理由は後述)。
ちなみに以前似たようなことをやった時は逆の感想だったけど、この時はレバーの長さが V レバーの方が長くてテコの原理が効いていたと推測される。 自分素人ですから…。
何で効きが弱くなったの?
レバーの握り量 (A) に対するシューの移動量 (B) が増えると、逆に言うとシューの移動量 (B) に対するレバーの握り量 (A) が減ると、シューに伝わる握りパワーも当然減るのでブレーキの効きは弱まります! 多分。 それが正しければ V レバーは C レバーよりワイヤーの引き量が多くシューの移動量が増加するので、つまりレバーストロークが減るので、握りパワーも減って効きが弱まるのです。
これ以外でレバーで弱くする方法
人差し指だけで引くワンフィンガーレバーってのがあって、レバーが短いからテコの原理が働きにくいし、指一本ぶんの力しか込められない。 これは憶測じゃなくて事実ね。
こいつは他にも特徴があって、普通はブレーキレバーを握るとハンドルの握りが弱くなってハンドルさばきが
同じレバーでも握る場所で違うよ
STI(ドロップハンドル用ブレーキレバー兼シフター)って、ブラケットポジションでレバーの根本を握ってもあまりブレーキが効かないけど、下ハンでレバーの先端を握ると凄く効くよね。 STI の致命的な欠点でありテコの原理の分かりやすい例。
V 本体に C レバーはどう?
ここまでの理屈から逆算すると、シューの移動量が少なくなってリムとの
そもそも C と V でどれくらい引き量が違うの?
レバーと本体の連結部と、ブレーキワイヤーのタイコをセットする場所までの距離、これを比較すれば分かるらしい。 支点から作用点の距離ね。 力点はレバーの端っこ。 で、実際に測ってみたところ、
左は今まで使ってたキャリパーレバーのテクトロ 275A で、右が V のシマノ DXR BL-MX70。
それって本当?
ブレーキ本体の構造から検証してみよう。 ブレーキ本体のアーム比は [C=2], [V=4] となっておりますらしいですハイ。 これは、キャリパーはワイヤー引き量 2 に対してシューが 1 移動し、V は引き量 4 に対してシューが 1 移動する、ということ。 つまり V は C の 2 倍ワイヤーを引かないと同じだけシューが移動しないということで、レバーのワイヤー引き量は V が C の倍だから、シューの移動量は C も V も同じということ。 この合致はワイヤー引き量 2 倍差の妥当性を確かなものとする! ハズ!
ここで引き量・移動量を実測してみましょう
本体はアーチサイズは違うけど全てデュアルピボットキャリパーで、レバーはどれもフラットバー用。 それらの組み合わせでレバーを完全に開放した状態からハンドルにカチンとぶつかるまで引ききった状態までのワイヤー移動量距離を計測。 レバーの形状によって引ける量が変わっちゃうので計測方法としては完璧じゃない。 移動量はアームがどれだけ
本体 | レバー | モード | 引き量 | 移動量 | 比率 |
---|---|---|---|---|---|
シマノ BR-R650 (57mm ロングアーチ) |
テクトロ 350? | C | 22mm | 21mm | 95% |
V | 28mm | 26mm | 93% | ||
テクトロ 275A | C | 16mm | 16mm | 100% | |
シマノ BL-MX70 | V | 28mm | 27mm | 96% | |
ダイアコンペ BRS202 (75mm 超ロングアーチ) |
テクトロ 350? | C | 22mm | 26mm | 118% |
V | 28mm | 34mm | 121% | ||
テクトロ 275A | C | 16mm | 19mm | 119% | |
シマノ BL-MX70 | V | 28mm | 34mm | 121% | |
ノーブランド (57mm ロングアーチ) |
テクトロ 350? | C | 22mm | 22mm | 100% |
V | 28mm | 27mm | 96% | ||
テクトロ 275A | C | 16mm | 16mm | 100% | |
シマノ BL-MX70 | V | 28mm | 27mm | 96% |
ワイヤー引き量に対するシュー移動量は
引き量に対する移動量は 97% 前後と若干移動量の方が少ないものの、ワイヤーのたるみや誤差を考慮すればほぼ 100% と考えて良いでしょう。 そしてこれは両方のシューの移動距離なので、シュー片側はその半分。 つまりキャリパーはワイヤー 2 に対してシュー 1 の移動という前出の理屈と一致!
でも 75mm 超ロングアーチのダイアコンペ BRS202 は、約 120% とシューの移動量が 2 割増えちゃってる。 アームが長くなったのにアーム比をそれに合わせて変えなかったんだろうね。 これは一般的なキャリパーに較べてシュー移動量が増えて効きが弱くなることを意味する。 ワイヤー引き量の少ないレバーの使用が推奨やの。
ていうか C と V のワイヤー引き量の差が 2 倍無いぞ?
V の引き量は 28mm で問題無いとして、C は 350? の 22mm と 275A の 16mm でぜんぜん違う!? 16:28 は 1.75 倍と、計測方法の適当さや誤差を考えると理論値の 2 倍弱がギリギリ許容範囲としても、22:28 の約 1.27 倍って全然 2 倍に足りてないやん! むしろ V の引き量だよ! 明らかにおかしいので 350? のレバーの支点〜作用点間の距離を測ってみたところ↓
C が 30mm の V が 38mm くらいだった。 全然 1:2 ちゃうね…。 V は BL-MX70 の 39mm とほぼ同じとして、この C モード何なの!? もしかして新比率の新スーパー SLR の比率? そういえば実走であまり差を感じなかった 350? の C モードと V モードだけど、これしか差が無いんじゃそらすぐには分からんよね。 正式なシマノのキャリパーレバーが欲しい! この測りたい願望を満たしたい!
という訳で測ってきた
ヤフオクで安いのが出るのを待ったけどイマイチだったので、サイクリー国立店と世田谷店と相模原店に行って定規持参でアレコレと測り比べてきた。 店内で定規片手にモソモソしていたのはアチシです。
で、結果は、V は 39mm で良いとして、旧比率キャリパーはやはり 20mm で、新比率キャリパーは多分きっと 30mm くらい。 [多分] [きっと] [くらい] ってのは、新比率のレバーはネジを外さないとワイヤーのタイコをセットする場所が確認できない STI しか見当たらなくて、なので正確に測れなかった。 ともあれ STI は 5~6 個は測ったし、350? の 30mm が新比率のレバー比である! と言い切っちゃいましょう。 ワイヤー引き量も 20:30:39 くらいの差が出るだしょう。
※新比率は 30mm ではなく 25mm だったっぽい! 詳しくは後述!
STI で V ブレーキを引くアレは
そういえば、C レバーで V 本体を引く際に使われるミニ V ブレーキのアーム長の減少幅 105mm→85mm の 2.0→1.6 くらいだと 2(V)→1(旧C) の差はどう考えても埋められないだろ! って思ってたけど、39mm(V)→30mm(新C) の 2.0(V)→1.5(新C) くらいならまだ許容範囲だ。 つまりミニ V ブレーキは新比率向けで旧比率じゃあ駄目だったのだ!
ここで逆の情報が発覚
ワイズロードブログで旧より新の方がワイヤー引き量が少ないって書かれてる! 計測方法もしっかりしてるっぽいし、2 ヶ月近く調べた今回の自分の調査が信じられなくなってしまった…。 何か前提が間違ってたりするのかな。 他にも調べまくったけど [新の方が引き量多い] と [新の方が引き量少ない] が同じくらいあった。 どうなっとんねん…。
なのでブレーキ本体のアーム比を測った
これは画像だけで分かるのでネットで見つけた BR-7800(旧) と BR-7900(新) の写真を測り比べたところ、旧のアーム比は 2 倍くらいで新が 2.6 倍くらいだった。 つまり新の方がワイヤー引き量が 3 割多く必要なので、ワイズブログが間違いで自分の調査が正しい可能性が高まった。 でも仮にそうだとしたところで、レバーの支点〜作用点間距離が 20mm(旧C):30mm(新C) だから倍率も 2倍(旧):3倍(新) の 5 割増しにならないと駄目なハズ。 アーム比の増加やらで効きが強化されたからそのぶんクリアランス調整しやすいようにワイヤー引き量を意図的にちょっと増やした? それともレバー側の支点〜作用点間距離 30mm が間違いで本当は 26mm? ぬむむ…。
そんな感じで
だいぶ話が飛んじゃったし根拠の薄い内容だけど、ブレーキの効き弱体化に関しては大成功! でもそれ以上にブレーキの原理について考える切っ掛けになって良かった! ワイヤーとケーブルってどっちが正しい呼び方なの? とか。 でした!
※その後見つけた!
BL-R780 というブレーキレバー! のタイコセット部分の画像を! それを 3 つほど測ったら 26~27mm だった。 キャリパー本体画像の計測結果も鑑みて 26mm 説を新キャリパーレバー支点〜作用点間距離の最終結論とします! 表にすると
旧 C | 20mm |
---|---|
新 C | |
V | 40mm |
そうなると新比率でもミニ V ブレーキの引きがちょっと足りない感じね。 アームレングスが 70mm くらいじゃないとキャリパーと同じだけシューが動いてくれなくてクリアランス調整が難しそう。 これが旧比率になった日にゃあ 52.5mm で、やっぱり実現性は低そうやね。 ネ!
※更に見つけた!
あさひに新比率は 2.5倍 って書いてあった! これはコッチの調査 2.6 倍とほぼ一致! 間違いない! ではワイズブログやらその他情報の新の方が引き量が少ない、ってのは一体何なんだ? まだ見落としはあるか?