フロントをディスクブレーキ化 (後編)2018-07
梅雨時の雨対策として雨に強いと言われるディスク化を推進するために組んだディスク前輪を前編にて愛車ファータイルに取り付けて準備万端! な所で話が止まっていたので、その続きを。 さあ走ってみようぜ。
走ってみたら
ブレーキが…全く効かないよ神様…。 自転車から降りてブレーキレバーを握りながらハンドルを前に押すと多少の抵抗はありながらも前輪が回転して前進してしまう。 ローターの当たりが出てないとかそういうレベルじゃないと思う。 ケーブルダブラー(写真)を使ったダブルレバーからシングルレバーにしたら普通に効くようになったけど、ダブルレバー必須な我が象徴たるカマハンエアロバー(写真)を無下に捨てるわけにはいかぬ…。
なので色々と調整した
BB5 のテンション調整ボルトをクリクリしてリターンスプリングを弱めたり、ケーブルダブラー内部のリターンスプリングを排したり、tideace のアルミアウター からユネックスのウルトラケーブルに変えたり、ケーブルダブラー内にクレ556を吹いて滑りを良くしたり、ドレがドレくらい影響したかは分からないけどレバーの引きがかなり軽くなって何とか普通の効きになった。 今まで使ってたキャリパーブレーキ 105 BR-5800 の効きにはまだ届かないけど。
ワイヤーを張り替えてはブレーキの効き具合を確認し、レバーを替えては握り具合を確認し、そんな作業を 1 時間以上繰り返すハメになったよ…。
ローターが少し曲がってた
ハブむき出しでのフォーク仮組み段階で分かってたけどこの程度なら問題ないと思ってそのまま作業を進めたものの、前述のブレーキの効かなさを解消するためにパッドとローターのクリアランスを狭めようとペンチで掴んで「グ…ググ…グググ…」と慎重に曲げて直した。 専用の工具が有るらしいけど ¥2,000 くらいするっぽいのでペンチで。
制動力も上がったので軽く近所を走ったら
ローターがシャリシャリ鳴き始めた。 何だと思って調べたらホイールがセンターからズレてる↓
一旦スキュワーを緩めて再装着したらセンターに戻るんだけど、1 回強くブレーキを掛けただけでまたズレる。 ホイール自体のセンターがズレてないことは確認したし、スキュワーをグイッと締めてもまた発生したので締めが甘い訳でも無い。 普通のキャリパーブレーキ用ロードフォークに取って付けたようにポストマウント台座を搭載しただけのこのフォークの問題かな。 でもこれ以上片寄りする事も無かったのでこの状態に合わせてクリアランス調整をする事で対処完了。
強めのブレーキでブルブル震える
ヘッドのガタは無いのでフォークの剛性不足? 他のフォークでもブレーキの効きが強すぎると震えた事はあったけど、今回のソレは過去の事例を大きく上回る。
でも 20km くらい走ったらガクガクは無くなって「シュシュシュシュ」というちょっとデコボコしたブレーキの感触になり、50km 走ったら「シューーー」とほぼ平坦な感触になって効きも少し強化された。 ローターとパッドの当たりが出たってことかな。
ここいらで話を纏めてみよう
ディスク導入前に使っていた 105 キャリパーブレーキ本体 BR-5800 ダブルレバー運用時 (以後 105DL と呼称) と比べた制動力を時系列で並べてみた。
1 105DL からワイヤーを少し長くしただけのほぼ同じ構成で BB5 に装換 → 驚く程効かない |
↓ |
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2 あまりの効かなさに恐れおののき BB5 シングルレバー体制に変更 → 105DL と同じくらい効く |
↓ |
3 ダブルレバーに戻しつつアレコレと小細工を施す → 105DL より少し弱いくらいの効きに強化 |
↓ |
4 その後 50km ほど乗ったら 105DL と同じ効きになる |
という感じね。 ディスクブレーキは当たりというものが出るまでは本来の制動力を発揮できないらしく、その当たりは何度もブレーキを掛けることで出るらしい。 なので (4) で効きが強くなったのは当たりが出て制動力がアップしたって考えられるね。 (1)→(2)→(3) はワイヤーを張り替えては家の前で 2〜3 回ブレーキを掛けてまたワイヤーを張り直して、を繰り返していただけなので、当たりが出たのではなく小細工が効いたのでしょう。
という訳で BB5 の制動力は
この SRAM Avid BB5 140mm は、自分のようなダブルレバーという特殊環境ではレバーの引きを軽くする小細工をしないと制動力が足りず、普通のシングルレバーなら小細工無しでも標準的な制動力がある、という感じかな。 効きの順としては [ V > 105 > BB5 > 駄キャリパー] と暫定。
コントロール性は?
コントロール性の概念を以下のようなものだとすると、
レバーを軽く握る | レバーを強く握る | ||
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× コントロール性の悪いブレーキ | → | 全く効かない | 程よく減速 |
○ コントロール性の良いブレーキ | → | 程よく減速 | シッカリ止まる |
× コントロール性の悪いブレーキ | → | シッカリ止まる | ガッツンブレーキ |
要するに制動力を調整やパーツ交換でいかに中くらいにするか、って事なので、というかそう定義したので、リムブレーキだろうがディスクブレーキだろうが調整で最終的に同じような効き具合にするからコントロール性も同等です。 今回の BB5 も最初の愕然とした効きの弱さを調整でバッチリに持っていけたし。
という訳で、ディスク車は試乗車数台と所有車 1 台のみの心許ない検証結果ではあるものの、以上の理屈から「ディスクはコントロール性が高い」神話の崩壊を今ココで確定させてしまおう。 以前の試乗で気付いた事の再確認。
雨天時の制動力は?
…ディスクでも制動力落ちるね…。 具体的には、雨に濡れると制動力の低下と共に「キィー」というけたたましい音が鳴るようになり、何回かギュッギュと強めのブレーキをかけると音が止んで制動力も復活(摩擦熱で水が蒸発してる?)。 そしてまた濡れて音鳴り & 制動力低下を繰り返す。 対してリムブレーキは音は普段とあまり変わらないけど一旦落ちた制動力は全く復活せず。
以上の結果から、断続的とは言え制動力が復活するディスクの方が優秀と言える…んだけど、ギュッとブレーキを掛けないと効きは復活しないし、急に制動力が戻って「ウォッ」となる事もあるし、何より音が不快。 よって「雨にはリムよりディスク」神話も崩壊とまでは言わないけど要注意としましょう。 ただディスク雨天走行はまだ 30 分のみなので検証は継続です。
ホイール脱着後のパッドクリアランス調整は?
キャリパーや V といったリムブレーキと比べて特に頻度が増える感じは無いッス。 今回のスキュワー締めでもそういう評価なので、ディスクブレーキはスルーアクスルじゃないとダメって事は無さそうね。 前述の「フルブレーキでホイールセンターズレ」は明らかにダメなんだけど、ズレること前提のパッド調整をすれば良いだけだし、脱着時にシューを開放しないとタイヤが引っかかるリムブレーキより楽な脱着を鑑みてトントンとします。 今回は神話崩壊系が多い。
メンテナンス性は?
本体取付・シュー/パッド交換・クリアランス調整なども今の所キャリパー・V と比べて手間はあまり変わらないかな。 ただクリアランス調整にトルクスレンチが必要だったり、パッド交換にペンチが必要になるので、その点についてはややイマイチ。 クリアランス調整・パッド交換方法に関しては前編を参照のこと。
パッドが挟む範囲が狭い?
ローターの 70% くらいしかパッドが挟めてない。 そもそもこういうモノ? ディスクあるある?
↑色が変わってるからどこが挟まれてるかすぐ分かる。
※追記)パッドの減りが偏って良くないかもしれない (リンク)。
前輪付近がグニグニする
走行中は分からないけど、自転車を降りてからブレーキレバーを握ってハンドルを前後に押し引きするとハンドルがグニグニする。 リムブレーキの時はもっとカッチリしてたので、今回のフォークの剛性が低いか、ホイールのねじり剛性が要求されるディスク特有の現象か。
片足だけペダルに乗せてケンケンしてるとブレーキが「キィー」と鳴く事があるので体重の掛け方によってどこかしらが歪んでいるのは間違い無さそうだから、剛性の問題かな。 特に弊害は出てないけど怖いね…。
ローターで火傷は
短めの坂を下った後にローターに触ってみたら、一瞬で手を離したから平気だったものの不用心にギュッと摘んだら確実にヤケドしてたぞコレ。 聞いてはいたけどここまでとは…。 ホイール脱着時は気をつけよう。
さあ前のみ 140mm ローター機械式 ディスク化の評価は
○ | リムを削らないのでホイール寿命が長い (スポーク負荷は増えるらしいけど) |
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○ | ホイールが多少横に振れても平気なので縦振れ取りを優先できる (多分) |
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○ | ブレーキングの摩擦熱に弱いカーボンリムでも困らない (使った事無いから知らんけど) |
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× | 片輪で重量が 150g くらい増える (実走には全く影響無いけど) |
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× | スポークキングでラジアル組みや少本数が出来ない (らしいケド) |
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× | パッド交換にペンチが、クリアランス調整にトルクスレンチが必要 (今回のBB5だけ?) |
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△ | 制動力はミドルグレードキャリパー並で程良し |
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△ | コントロール性はリムブレーキと変わらない |
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△ | 雨天時の制動力はリムブレーキよりは強いけど強さにムラがあるし音がうるさい |
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軽量リムを長持ちさせたい人やカーボンリムで峠を下る人にはディスクが(多分)最適。 あと雨の峠をブレーキかけっぱなしで下るならディスクは前述の検証結果により制動力を維持できると推測されるので有用。 以上のケースに当てはまるなら評価は出費と交換の手間ぶんの 1 を引いた
対して、頑丈なアルミリムを使っていて、雨天時に峠を下らなくて、軽量さを追求する人には、メリットがほぼ無いので
逆の視点で見ると
140mm
よってこれから新車を買うなら
同じ値段のリムブレーキ車と
それから繰り返しになるけど今回の評価は前のみ 140mm ローター
そんな感じでした
梅雨対策に導入したディスクブレーキなのに今年の最速梅雨明けのせいでコイツを組み上げたのは梅雨明け翌日。 例年通りなら間に合っていたのに…。 発送から到着までに時間がかかるガイツー(海外通販)を使ったり、ハブの寸法を確認しないとスポークを注文できない手組みホイールを使ったりしたので、どうしても時間は掛かってしまうよね。
まあ何はともあれ
18.09.02 追記)また雨天走行したら…
豪雨の中を 15 分ほど走る機会があったので制動力や音鳴りのテストをしたら、ギュッとレバーを握っても制動力復活 & 音鳴り消滅とはならなかった。 つまりずっと制動力は下がったままで音鳴りもしっぱなし。 あまりに豪雨過ぎて水が蒸発する暇がなかったんかな。
あと前回のテスト時にも気付いてたものの確信が持てずに書かなかったんだけど、どうもディスクの方が制動力の低下の発生が早い気がする。 リムは豪雨開始 5 分くらいは晴れの制動力を保っていたのに、ディスクは 30 秒と経たずに音鳴り & 制動力低下が発生。 どうも定説とは違うなあ。 「ディスクは雨に強い神話」の崩壊を確定させても良い気がしてきた。
※追記 19.03.03)ディスクブレーキを再評価した! 評価が逆転してリムブレーキが優位に立った。