ブレーキの効きを強くする方法2018-08
自転車に於いて重要な要素はいくつかありますが、その中でも上位に入るのがブレーキングやね。 その制動力 (ブレーキの効き) を強める方法をここいらで纏めてみようかな。 自分の個人的な経験を元にした内容なので間違ってるかもしれんけどね。
なお
そもそもどういうブレーキが良いの?
ブレーキレバーをギュッと握れば強く効き、軽く握れば弱く効くってのが理想のブレーキやね。 ちょっと握っただけでガツンと効いて急ブレーキになっちゃうと危ないし、かといって力一杯握っても止まらないと使い物にならないので、その中間を狙う訳です。 言葉にすると当たり前やけどコレがまたナカナカに難しい! その関門を突破する為に何をすれば良いかというと、自分の思う理想的な対策はレバーの引きを軽くする事。 引きの軽い油圧ブレーキが恐ろしく効く事からもその重要性が分かるね。 さてその引きを軽くする為にすることは…
まずはシューとリムの間隔 を狭めよう
ディスクならパッドとローターね。 例えば今までレバーを 2cm 引いて効き始めたブレーキを 1cm 引くだけで効き始めるようにすると、レバーの引きを 1cm 減らした分だけ引きを軽くした事になるんよ。 レバーや本体に付いているアジャストボルトをクリクリするだけと作業が簡単なのも素敵。 まあ基本的には大きな効果は無いんやけど、購入以降 10 年以上ノーメンテのママチャリ後輪のバンドグリス切れのローラーブレーキと、メーカーサポート外の組み合わせだけど引き量 3 のレバーでアーム比 4 のブレーキを引いた時はかなり効果があった。
リスクは、リムやローターに振れ (左右への歪み) があるとあまりクリアランスを狭められないのと、強く踏み込んだり車体を傾けたりして車体が歪んだ時にシューがリムに、もしくはパッドがローターに接触して軽くブレーキが掛かかる "シュータッチ" (ディスクならパッドタッチ?) 現象が起きやすくなるという事。 調整力を求められますな。
続いてリターンスプリングを弱めてみる
リターンスプリングってのは握ったレバーが元の位置に戻るアレね。 レバーと本体にスプリングが内蔵されていてその力で元に戻る訳です。
コレによりブレーキが掛かりっぱなしにならずに済んでおるんやけど、レバーを握る力の抵抗にもなっとるんや。 つまりリターンスプリングの戻り力が強いとレバーを強い力で握らないとブレーキが効いてくれないのです。 逆に言うとその戻り力を弱めれば軽い力で引けるようになり、今まで戻り力を打ち消すために使っていた握力がブレーキまで伝わるようになって制動力アップ! さてソレをどうやって弱めるかというと…
リターンスプリングを弱める:レバー編
そんな機構は自分の知る限りでは無いんやけど、レバーの握り開始位置を調整するネジを回してレバーを広げれば戻り力が弱まってくれる。 ただ多くのブレーキレバーは最初からコレが広がった状態で出荷されてるので、戻り力を弱める方向での調整はまず出来ない。 滅多に使えん手法です。
なので本命は身もふたもないけど元から戻り力の弱いレバーに交換する事やね。 自分が使った中では以下の写真の二つの引きが軽かった↓
左が恐らく [Tektro RX2.0] で右が [Tektro 275A]。 ただ個体差で柔らかかったのかもしれないし、中古でヘタっていただけかもしれないので、同じやつを手に入れても柔いとは言い切れない。 お店でニギニギして一番抵抗が弱いやつを買うのが安全やね。
スプリングが入ってなくて戻り力ゼロのテクトロ RL740 やダイヤコンペのギドネットレバーってのもあって、制御は難しいけど調整者の力量さえあれば最強のレバー足り得るポテンシャル。 回転部分に油を差すのも良いね。
リターンスプリングを弱める:キャリパー本体編
以下の写真の赤丸箇所のネジを引き抜く方向に回すと弱まります。 ネジの場所は個体差有り。 BR-5800 と BR-650 と BRS202 にて少し戻り力が弱まったのを確認。
ただコレって片効き調整用のセンタリング機構なので、戻り力を弱めるためにココを使っちゃうとセンタリングはブレーキ本体を手で持ってグリグリと回転させて調整する事になりやす。 あっしは長年グリグリ手動センタリングでも問題は起きてないけど、あまり他人に勧められる方法ちゃいますな。 戻り力はどの個体もほぼ同じだったし、残るは油を差すくらいしか対策無しやね。
コレ関係ありまへんね。 ここを緩めたらクリアランスが広がるからそのぶんワイヤーを絞ってリターンスプリングを引いた状態せなアカンし。
リターンスプリングを弱める:Vブレーキ本体編
以下の写真の赤丸で囲んだ場所にある片効き調整ネジをこれまた引き抜く方向に回すと弱まります。 ネジの場所は恐らくどの個体も同じ。 コレも本来は戻り力調整用のネジやないけど、左右を同じだけ緩めれば片効きをズラすことなく戻り力だけを弱められるのです。 素敵!
リターンスプリングを弱める:機械式 ディスク本体編
でも弱めすぎには注意
戻り力が弱すぎると握ったレバーが元に戻らず手動で戻さにゃならなくなるし、最悪ブレーキ本体も戻らず軽くブレーキが掛かり続ける状態になってしまうかもしれない。
だからと言ってターンスプリングを弱める戦法は諦めるには惜しいので、そういう時はブレーキワイヤーの抵抗を減らしてレバーがスルッと戻ってくれるようにしまひょか。 レバーの引きも軽くなって制動力も高まるし。 さてそのワイヤー抵抗を減らす方法はというと…
ワイヤーを短くしよう
長いワイヤーを短くする事とワイヤーの曲線区間を減らす事がワイヤー抵抗を減らすのには効果的。 基本的には短くすれば自然と曲線区間も減るので、短くする事だけ考えれば良いね。
あまり短くし過ぎるとワイヤーが突っ張ってハンドルが曲がらなくなってしまうのと、ハンドルをフォークから引っこ抜く時にも突っ張ってワイヤーを外さなきゃならなくなるのには注意ね。 無理のない範囲で短くしましょ。 「いやいや既に限界までワイヤー短いよ」って場合は…
ワイヤー自体を抵抗が少ない物に交換しよう
ザ・王道な処置ね。 ワイヤーが元々短いと効果は少ないけど、長ければ長いほど、曲がってれば曲がってるほど効果が大きくなるんよ。 あと何たらコーティング的なインナーは使い込むと表面のコーティングが剥がれるので、新品にすればまた元の低抵抗に戻るぞい。
実際に試した中ではユネックスウルトラケーブルセット (もう売られてない?) と AICAN アルミアウターに交換した時は明確に引きが軽くなったのを体感できた。 どちらも元々ワイヤーが長かったから効果を強く感じられたってのもあるんだろうけど、効果がある事は間違いない。
これで最重要のレバーの引きを軽くする処置は完了
ここまで説明してきた方法でレバーの引きを軽くすれば「レバーの引きの軽さ ≒ ブレーキの効きの強さ」の法則 (自分調べ) により制動力の不安はかなり解消してるハズ! 同時に手の疲れも減らせるスグレ調整やでー。 でもまだ解決できてないなら…
[シュー] or [パッド/ローター] を変えよう
コレもザ・王道。 比較的簡単な作業やから一番最初にやるべきとも言えるけど、コレだと手の疲労も減らせるレバーの引きの軽さを得られないので優先度を下げて後半に書きましたよ。 効果的な交換対象は、キャリパー・V はシューをカートリッジ式なヤツにすると効きが良くなる確率が高かった(少なくとのシマノのやつは)。
↑上がシューと船が分かれてるカートリッジ式で、下が分離不能な一体型ね。 ディスクはレジンからメタルパッド & メタルパッド対応ローターに変えると効果があるとかないとか言われてるけど試した事は無いッス。 と、ここまでやればもう絶対無敵に制動力は強化されてると思うけど、まだダメ? なら…
ブレーキ本体を交換しよう
王道その 3 。 キャリパーは、MINI-TR247 って安価なミニベロに付いていたノーブランド品からシマノ BR-R650 に変えたら明確に効きが強まった。 V は、今まで使ってきたヤツはドレも制動力に不安はなかったので本体交換の効果は分からず。 ディスクはより大きなローターに対応した本体を選んでローターごと変えれば効きが強くなるらしいですよ。
ホイール交換という最終手段も
リムブレーキ限定の話だけど、ホイール(厳密にはリム)を変えると効きが一変するケースも。 自分の場合はリムを Mavic X517 から SunRingle UFO に変えた時に驚くほど効きが強まったので効きを弱める処置を施したほど。 Mavic のエグザリットに代表されるプラズマ何たら処理が施されたリムが効果的らしい。 ただかなりの出費になるので最終手段やね。
以上です!
細かい調整に不安があるならお店に頼んでブレーキワイヤーとブレーキ自体をごっそり交換しちゃうのが楽だけど、今回書いたような理屈を理解していない店員だとお金だけ取られてむしろ効きが悪くなった、なんて事にもなりかねない。 経験豊富な自転車屋を見つけるか、自分で作業をして知識を身に付けるか、どちらにしてもリターンスプリング弱め戦法とかを身に付けるとブレーキへの理解が深まって後々幸せになれると俺の魂が告げておりますよ。
そうそう効きを弱める方法も一応
シューをカートリッジ式から一体型にするのが一番手っ取り早いッスな。 パワーモジュレーターの導入も程々に効果有り。 V ブレーキならアームレングスの短いミニ V にしたり、キャリパーならレバーを V 用のものに交換したり、ディスクならローターサイズを小さくしたり。 まあ細かい事は検索してくだされ。