クロスバイクのドロップハンドル化2017-05

 このサイトで妙にアクセス数が多い Giant Escape R3 キャリパーブレーキ化! でも当時の知識じゃ最適なブレーキ本体とブレーキレバーの組み合わせに辿り着けなくて、フレーム・フォークにドリルで穴を開けたのにマトモにブレーキが効かず失敗…という惨憺たる結果だったんよ。

 なので今の知識で書き直してみる! でも内容は R3 キャリパー化じゃなくて V ブレーキクロスバイクのドロップハンドル化について! ちなみにココに書くことの全てを自分で試した訳じゃないので間違ってるかもしれませんよ!

何故 V クロスをキャリパー化するん?

 フラットバーハンドルをドロップハンドルに変えたいから! もっと言えば STI (シマノ・トータル・インテグレーション) と呼ばれるドロップハンドル用のブレーキレバー兼変速レバー(シフター)を使いたいから! と決めつける。

でもそのままじゃ無理って言われてる

 メーカー曰く、R3 を含む多くのクロスバイクに装着されている V ブレーキ本体が STI レバーに対応してないから!

ちょっと方向性は違うけどより深く知りたい人はココを読んでみてねー。

でも実は STI + V も使えなくはない

 試しに STI と V 本体をブレーキワイヤーで繋いでレバーを握ってご覧なされ。 普通に V 本体動くから。 じゃあ何を根拠に対応しないって言われているのかッ! それは言ってる人に聞いてみるしか無いけど、自分で考えてみると、STI の方が V レバーよりブレーキワイヤーの引き量が少ないので、ブレーキシューの移動量が減ってリムを挟みにくくなってしまうからではないかと思う。 具体的には、キャリパーの比率 2.5 (ニュースーパーSLRね) に対して V の比率は 4 なので、V レバーと比べて 2.5 / 4 = 62.5% と半分強しかシューが動かない!

それでも STI + V は平気って言いはるん?

 本来の 62.5% の移動量しかなくても、ホイールに振れ (左右への歪み) さえ少なければ問題無くシュー・リムの間隔(クリアランス)調整が出来るので平気っちゃ平気! しかも副産物としてブレーキの効きが (理論上は) 強くなる! 強くなりすぎる可能性もあるけど。

 ただしホイールの振れが大きめだと左右に振れるリムにシューが接触しないようにクリアランスを大きく取らなアカンくて、そのクリアランス大きめ状態だと 62.5% の移動量じゃレバーを握ってもシューがリムに届かなくなってしまったりする。 恐ろしや。

※ この図のような状態は厳密には片効き調整をすれば解決できる場合もあるけど、左右に出る実際のホイールの振れを図で表現するのが難しくて左にしか振れてない図にしちゃったからこんな表現になってしまったのよ。

なのでドロハン化したいならまずは

 STI + V でも問題なくクリアランス調整が出来るようにホイールの振れを取って歪みのないホイールにすれば良いのです! これでクリアランス調整も問題無くてブレーキの効きも強すぎなければドロハン化は成功ね(やったことないので理論上の話では)

それが上手くいかなかったら次に試すのは

 どうしても取り切れない振れのせいでブレーキがリムを挟めない時は、アームレングスが短いショートアームなミニ V ブレーキの出番やね。 一般的な V 本体のアームレングス 100mm チョイで 4 要求されるワイヤー引き量が、例えばアームレングス 80mm のミニ V だと引き量 3.2 弱 (4 x 0.8弱) で済むのです。 なので 80mm なミニ V と STI を組み合わせればシューの移動量は正常時の 80% 程度 (2.5 / 3.2弱 = 78%強) まで緩和されるので、クリアランス調整はかなり楽になる! 実用範囲内!

 STI + 通常V に比べて効きは (理論上は) 弱くなるけど、STI + キャリパー本体よりは (恐らく) 効きは強い。 あとアームが短くなった分だけ太いタイヤは履けなくなる。 ネット情報によると 35mm 幅くらいまでならイケそう。

ミニ V でもダメなら

 カンチブレーキ化! カンチブレーキは "アウター受け" もしくは "ケーブルハンガー" というパーツが必要になりはするものの、V ブレーキの台座にそのまま装着できるし、何より STI と組み合わせて使われることを想定して作られた物なので、ワイヤーの引き量という点では完全に問題が無くなるハズ! カンチは一切使った事が無いんで詳しくは知らんけど! ちなみにカンチブレーキはこんなやつね↓

 注意点としては、STI レバーの比率が 2.5 (ニュースーパーSLR) と 2 (スーパーSLR) のどちらなのかを調べてカンチ本体もそれに合わせる必要がある。 まあ合ってなくても使えるっちゃ使えるんだろうけど。

 もう一つ注意点は、V より効きが弱いらしいので強くレバーを握る必要があるっぽい。 逆に言うと咄嗟にレバーを強く握りすぎてしまっても急ブレーキにならないので安全と言えば安全。

自分で試したことのある事象は

 STI じゃないけどフラットバー用の比率 3 の特殊キャリパーレバーでアームレングス 105mm の通常 V 本体は引いたことがあって、その 3 ÷ 4 = 75% でも問題なく使えてたように記憶。 ホイールの振れが少なかったのか確かクリアランス調整はそれ程困らなかった。 そこから逆算すれば前述の比率 2.5 でアームレングス 80mm のミニ V 80% は更に問題無いハズ。

 逆に比率 4 の V レバーで旧比率 2 のキャリパー本体を引いたこともあって、その組み合わせはシュー移動量が 200% に倍増するせいかブレーキの効きは明確に弱くなった。 効きを弱めたい時には使える手法かも。

※追記)ライトウェイファータイルでレバー比 3 のブレーキレバー RL740 とアーム比 4 のブレーキ本体シマノ DXR で運用したら、やっぱりクリアランス調整は厳しくなったけど、追い込んでホイールの振れを取り、その上でシューのクリアランスもギリギリまで狭めると、下手な油圧ディスクより遥かに素敵な極上の効きになった! 軽いタッチで軽く効かせたり、ギュッと握って急ブレーキしたり。 完璧でなくても多少の振れなら効きは少し弱まるけどクリアランス調整にそこまで困る事は無かった。 大きめの振れは確実にダメだろうけどね。

※追記 2 )アームレングス 80mm なミニ V ブレーキ [テクトロ 926AL] をレバー比 2 のレバーと合わせてみたよ。 上記の追記よりクリアランス調整は厳しくなる筈だけどそうでもなかった。 慣れたのだろうか。

で、具体的に R3 だとどうすれば良いん?

 年式によらず R3 は前:3s、後:8s なので、同じ 3x8s の STI である シマノ Claris ST-2400 を使えばオッケーなハズ! これで正常に動作すれば良し。 イマイチならホイールの振れ取り調整をして、それでもダメなら [ミニ V ブレーキ化] か [カンチブレーキ化] のどっちかをやるって感じやね。

 ただしリアディレイラーが SRAM 製だとシマノの STI じゃ変速が出来なくなっちゃうので、その場合はリアディレイラーの交換も必要になる。 なんて書き始めるとキリがないので今回はココまで! 次回は別に計画して無いけど!

普通にロード買ったら? って話は

 金額的には、5 万円のクロスバイクをヤフオクで 2 万円で売って 7 万円のロードバイクを買うと 4 万円の出費。 対してドロハン化はミニ V を想定すると、ドロップハンドル 3 千円、ST-2400 1 万円、バーテープ 1 千円、ミニVブレーキ 3 千円、ブレーキワイヤー・シフトワイヤー交換 3 千円で 2 万円と見積もりつつ、お店に頼んで作業工賃が 5 千円かかるとしても、ドロハン化は 2.5 万円とかなり安く済む。 部品はもっと安く調達できるし外したパーツも売れるし、実際はもう少し安くなると思う。 運良く 7 万円のロードを 2 万円以下で手に入れられる機会に恵まれたならそれ買った方が良いと思うけど。

ジオメトリーの違いは?

 クロスはロードよりトップチューブとチェーンステーが少し長いんな。 その内チェーンステーの差は自分には全く体感できず。 トップチューブが長いのは、クロスだとハンドルが遠いからステムを短くしたことはあって (例1 例2)、ショートステム化でハンドル操作が敏感(クイック)になったけど慣れたら問題無くなった、という変化しか感じず (クロスバイク Giant Escape R3、650c ロード Latido、折りたたみクロス Dahon Cadenza Solo、MTB Alero SL-R、700c ロード Giant Pace と複数のフレームを似たような構成で乗り変えてきた経験から)。 まあこのあたりは個人の感覚によるので敏感な人には気になるのかもしれないね。

そんな感じでロードじゃなくても

 自分(いわ)く、[ドロハン化した街乗り用クロス] と [入門用(エントリークラス(ロード] の性能に実用上問題になる差は無いので、作業をしてくれるお店を見つけられるか、自分で作業をする技術があるなら、新たにロードを買うよりクロスのドロハン化はほぼ同等の性能を安く手に入れることが出来る! と言い切っちゃいます! 違っても責任持てんけど! そして 1 分 1 秒を争うレースで上位を狙いたい人はハイスペックなロードを買った方が良いでしょう! デス!

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